象牙多層球

台湾の故宮博物館の展示品に「雕象牙透花雲龍紋套球(ちょうぞうげとうかうんりゅうもんとうきゅう)」というものがある。
象牙の塊を球に削り出したもので、21層になっており、それぞれが回転することができる。球には継ぎ目がない。
中国の究極の工芸品として、NHKスペシャルでも紹介されたので、記憶している人も多いだろう。
これはもう国宝級、世界遺産級の不可能物体として認知しても良いだろう。
さて、その作り方だが、
 「故宮博物院・秘宝物語」(古屋奎二)では、
『まず象牙を球形にととのえたうえで、中心に向かって八方から円錐形の穴を穿つ。そこに特殊な小刀を差し込み、中心部の一番小さい球体を彫り出す。次いで第二層、第三層と、円錐形の穴を手がかりに、内側から外へ向かって薄いボールの皮を削り出すように、一層ずつ回転する球体を彫り出していく。円錐形の穴からすべての仕事を目で見とどけることはできない。おそらく指先のカンと、削る刃先の音の変化で見当をつけたのだろう。
 ・・・
 現代では、これを実際に彫ることのできる技術の持ち主は誰もいないという。その意味では依然として幻の秘伝である。』
というのが、定説になっている。
親子3代にわたり彫られたものであるとかの伝説もある。
実は、香港のお土産で同様のものが、数千円でごろごろ売られている。
こちらは、おそらく、偽象牙だろう。
偽象牙は、卵の殻や牛骨などを砕いて、レジンで固めたものだ。
つまり、練り物のプラスチック製である。
象牙の偽物は、巧妙なものが出回っているので、多少の子細工はいるだろうが、このようなものは不可能物体と呼ぶに値しない。
さて、本家の象牙多層球であるが、本当に1つの玉から削りだしたもの
だろうか。
この説を私は実はすこし疑っている。
故宮博物館という場所に置いてあるのでこのような説も真に思えるかもしれないが、人間業としてあまりに離れすぎている。
実は、これを作る方法を、塊から削りだす以外に2つの方法を思いついた。それをここで述べるのは中国王朝への夢を壊すことになるので、あえて述べない。
しかし、近いうちに、象牙を使った不可能物体をお見せできるかもしれない。
故宮には、もうひとつ不可能物体と呼ぶべきものがある。
黄玉三連印である。3つの黄玉でできた印鑑が継ぎ目がない鎖でつながっているものだ。
こちらの方は、近年楕円印の鎖に継ぎ目が見つかった。

アラン・ボードマン
アラン・ボードマンはウッドランドヒルズ、カリフォルニアで暮らす引退した航空宇宙技術者です。他の多くのパズル職人のように、彼は熱心な木工師です。彼は極小のパズルを作るただ一人の職人です。彼のパズルのほぼすべては、2分の1インチ(13mm)以下の立方体に入るでしょう。ほとんどの彼のパズルは、組み木、put-togetherパズル、また不可能物体です。彼は彼自身をmicroxylometagrobologistと呼びます。大まかにこれを翻訳すると「小さな、木製パズルナット」の意味です。
実際にこれで遊んだ人はいませんが、彼のパズルはすべて実際に遊ぶことができます。そして、彼のパズルは一般に、買うことができます。大部分はストックがありますが、彼は特注を受けることがあります。待機時間は6か月以内かもしれません。しかし、彼は信頼できます。また、どんなに待つこともその価値があります。