月別アーカイブ: 2005年10月

Curving

1900から1930にかけてWhittlingという木彫りで鎖やボールインケージなどの奇妙な物体を作る遊びが流行した。これを先導したのが、Popular ScienceやPopular Machanicsという雑誌である。
娯楽の少ない時代に念入りな手間のかかる趣味が、この雑誌社が主催したコンテストにより切磋琢磨された。
そのような流れの中に、少数派であるがより小さいものに造形する喜びを覚えたひと達がいた。マッチ棒にこれらの奇妙な造形を掘り込むのである。
それは、MatchStick Curvingと呼ばれた。
当然、これらのコンテストも開かれ、その優勝者はMilton Cliffordという人物で、マッチ棒で作った鎖を囚人が足枷にしている「The Prisoner」という作品だ。ちょうど、マッチ棒の頭が鎖の重石になっている。
MatchStick Curvingは、そもそも欧州で流行した遊びだった。
それが、Whittlingの影響を受けて海を渡った。
そもそもマッチ棒に使われている木は、あまり質がよくない。
木目が粗くとても細かい造形に向く素材ではない。
力加減を間違えると簡単に折れたりしてしまう。
普通の材に造形するとのは又違う難しさが存在するのである。

たまねぎ

古い手品の本に石を軟らかくする方法が載っていた。
たまねぎと一緒に石を茹でるそうだ。
たまねぎには硫酸塩が含まれている。
刺激臭がするのはそのせいだが、だから、多少は変質するかもしれないけど、本当かな。なんか嘘っぽい。
古い手品の本は、おまじないとか陰陽道みたいなものまで載っているからどこまで信じてよいかのかわからない。

パズル継手

不可能な継ぎ手は、Dovetail PuzzleとかPuzzle Jointなどと呼ばれてきた。この継ぎ手は、昔から大工の手習いとして作られてきた。
しかし、寸法取りやホゾを上手に作れないと、無様なものしかできないからだ。
と一般には思われている。
実際には、大工の素人でも簡単に作る方法がある。
普通のホゾが作れる程度の技量があればそれほど難しくない。
応用すれば、もっと複雑な不可能継ぎ手も素人レベルで可能だろう。
まず、普通の2本のホゾを平行して作り、色の違う木材を接合する。
後は、その接合した木材を、ホゾの切断面が切片になるように斜めに正方形に切り出すだけである。頭を使うような寸法取りは不要である。
The woodworker magazineという雑誌の1902年5月号に古い記事が載っている。他にも定期的にDIY系雑誌に掲載されたり、改良されたりしている。
“Woodturning Wizardry” by David Springett (1993).
には、多層球の作り方が載っている。
この本は、ちかじか再販されるので入手は容易になるだろう。
なんとこの本はビデオ版があるではないか。

糸巻棒

瓶細工の道具の絵に、糸巻き棒なるものが描かれている。
普通の糸巻き棒ではなく、瓶細工用に使うものだ。
棒の先が平たくなっていて、先端が弓状にへこんでいて、
かつ、穴が開いている。
おそらく、この棒は自分の手で竹や木切れなどを使って作ったものだろう。
この棒の使い方は描かれていない。
しかし、名前と形から想像するにこの棒を使い糸巻きを巻いたのだ。
どうやって巻いたのか。
糸をこの穴に通して、長い針のようにして使う。
その先端で、糸をビンの中で転がす。先端のカーブはこのためだ。
先端部分で糸を巻き取る、または、巻き戻す。
こういった作業を手際よくやるのだろう。
たしかにこの形の棒を使うことで、糸巻きを効率よく回すことができる。
このような感じで糸巻きを巻くために、丸ビンが多いのだろう。

大妻コタカ

近年の美術年鑑をたよりに瓶細工作家の経歴を追うと、この大妻コタカにたどり着いた。
大妻コタカは、大妻女子大学の創始者で、女性教育の草分けである。
「恥を知れ」という言葉で有名だ。
「恥を知れ」というのは、自分を律する言葉で、他人に向けたものではないというのが本来の使い方だ。今では、後者の意味が強くなってしまった。
手芸や裁縫、礼儀作法など執筆も多く、女性教育に尽力した。
文献に残る形で瓶細工を残したのこの大妻コタカ女史ただ一人だろう。そして、少なくとも現代まで続く3系統の流派の頂点にいて、その分派が各地に存在したこともたしかだ。
それが、草抄流、松本式、古山式となり、現在はおそらく草抄流が主に文化的な活動を担い、松本式、古山式は民草に隠れて広まったのだろう。しかし、明治の瓶細工がすべてこの大妻コタカを源流とするわけではない。大妻コタカ以前に瓶細工は、各地に存在しているし、作り方も微妙に異なる。大妻コタカは、広島出身で、おそらくその故郷で瓶細工を習得したのだろう。それを、解りやすい手順で絵や解説を加えて、材料や道具を形式化し、手法を精錬させたのだと思う。
ほとんど口伝でしか伝えられない瓶細工を、限定ではあるが、このように書籍にのこした成果は大きい。
その書物に糸巻きは作り方は書かれていない。手毬と金魚、板糸巻きが記述されている。しかし、その瓶細工の道具の絵が載っているので、そこから糸巻きの入れ方の想像ができる。
また、栓の構造や糸の通し方など参考になる点が多い。
きっと他にもあるはずなので、もっと念入りに調べる必要がある。