月別アーカイブ: 2005年1月

工芸の世界

工芸の世界には、不思議な工芸品を作る人がいる。
仲岡 瀞という陶芸家は、透かし彫りの達人だ。
透かし彫りといっても、木や象牙などではなく、陶芸なので常軌を逸する。
土は、焼くと縮んだり、割れたりするものなのでよほど土を熟知していないと作れないはずである。
5重透かし彫りの壷

http://www5c.biglobe.ne.jp/~matsu6/toro01.htm

参考文献 芸術交流アルテクス NO19 古風に倣う 本の泉社

飛騨の高山に千鳥格子に魅せられた人がいる。
千鳥格子というのは、どうも多くの人に影響を与えるようだ。
吉城郡古川町本町、匠工房代表・住寿男さんである。
飛騨に古くから伝わる千鳥格子を改良して、さらに複雑なものを作って、特許までとってしまった。「面取り千鳥格子」というそうだ。
「もっともパズルとしては難しすぎて、ほとんどの人が解けないでしょう」だそうだ。
もう少し暖かくなったら、見学にいこう。

びん細工

岐阜県大野町の旧家に眠るビン細工を取材してきた。
これらについては、詳細な写真を撮ってきたのでそのうち報告することになるだろう。
取材してわかったことは、やはり、この地方にはビン細工が多く眠っている可能性があることだ。今日取材した家以外にも、それらを蔵の中で見たとか、家にあったなどと話が飛び出てくる。
その多くは、引越しや蔵の整理などで無残にも廃棄されてしまうことがある。かろうじて現存しているものもその価値が全く認められず、死蔵されてしまっている。
大野町では、女性教育の歴史を取り上げた展示を行うことで、これらの物品が表面に出てきた。
それらのビン細工を見て思うのは、どれも大変丁寧に作られて、全くといって同じものがないことだ。そして、ビンの中で保存されているせいか時間が経っているにもかかわらずその中身が全く劣化していないことだ。まるで、タイムカプセルのようにその当時の趣味や愛着を伝えてくれる。
そして、そのような造形だけでなく、小さいながらも多くの不思議を投げられる。
たとえば、糸巻きなどは、糸をのりなどでとめた跡がない。きちんと色糸毎に綺麗に巻いて結んである。
その組み立て方、糸の巻き方、糸の結び方、糸巻きを中に吊るす方法
そして、飾りを下げる十字の組み方、楔の入れ方などよく見ればみるほど不可思議な点が出てくる。
つまり、パズルとしても一流の仕掛けがしてあるのである。
知恵をひねり、競いあってこのようなものを作り上げた当時の遊び心が伝わってくるようである。

びん細工

最近、びん細工に非常に興味を覚えいろいろ調べまくっている。
いくつかおもしろい事が判明したのでここでメモしておこう。
明治から大正にかけて関西圏を中心にびん細工が手芸として流行したらしい。
なぜ、この時期にびん細工が流行したのか理由はいくつかある。
まず、ガラス瓶の大量生産が始まり比較的ガラス瓶そのものが庶民にも手に入るようになった。
そして、繊維産業の育成にともない、人々に余暇が生まれ、女性教育が普及し、そして、各地に女学校が設立された。
それらの女学校では、当然、裁縫とか服飾という科目がカリキュラムになった。
そして、海外からボトルウィムジーなどの文化が入ってきた。
これらの要因が重なって、びん細工が流行したものと思われる。
しかし、現在まで残っているのは、びん手毬くらいのもので、それ以外の技術は廃れてしまった。
廃れた理由もはっきりしている。
瓶細工が流行ったといっても、それらの多くは口伝により伝えれた。
その口伝は、ほとんど一子相伝のようなもので、びん細工の作者たちは、自分の特別気に入った手先の細かい娘にしか教えなったので、自然に継承する人が少なくなってしまったのである。
さて、我が岐阜には、明治に入り他に先駆け裁縫を教える女学校が多く作られた。それは、この地が昔から繊維の町であったことから想像がつく。
揖斐郡大野町に名和かうという女性が設立した名和裁縫女学校という女学校では、それがクラブ活動のようなものであったかカリキュラムであったのか定かではないが、これらのびん細工を教えていたようだ。それらは、すべて、そのボトルキャップが扇型をしている。
いま骨董などで見かけるびん細工には、この扇型のボトルキャップをよく見かける。また、この西濃地方に見られるびん細工も扇型である。究極のパズルに載っているびん細工も半数がこの扇型である。つまり、これらびん細工が大野町で大量生産されたものであることを連想させる。
他にもこの当時は全国各地の和裁学校でこれを手芸として教えていた可能がある。事実このあたりの老人に聞くと、昔、それを作っているのを見たとか、実際に作ったという話が出てくる。
さて、それらのびん細工であるが、中にものを入れるだけではない。
その蓋が抜けないように楔を入れたりしている。
このあたりはウィムジーボトルの影響を強くうけているようだ。

ホイットリング

ホイットリング(Whittling)というのは、木彫りのこと。
同じ木彫りをあらわす言葉に、Carvingという言葉もある。
どちらかといえば、カービングといったほうが馴染みがある。
これらは、日本語だと、どちらも木彫りになる。
Whittlingの場合は、どちらかというと、子供のおもちゃや工作のような稚拙なものを指したり、民芸品のような荒削りなもの、質の悪いものを指すようである。たとえば、木彫りの熊やニポポ人形などである。
そして、時には、パズルや組み木、ウィムジーのようなトリッキーな造形物を指す場合にも使われる。
逆に、カービング(Carving)は、野鳥などを彫ったりするBird Carvingが示すように芸術的にも、工芸的にも装飾性の高いものを指すようである。
ホイットリングという言葉を知ったのは、一斉を風靡したドラマ「ツインピークス」である。
ご存知のようにこのドラマでは、森林や木材というものが重要なテーマとして語られ、その中で、ホイットリングの置物や小物が映像的に多く使われる。
さて、このホイットリングについて、精力的に幅広く書物を著したタンガーマン(E. J. Tangerman)という人物がいる。
ホイットリングには、ウィムジー(Whimsey)と呼ばれるトリッキーな物体が含まれているので、当然このタンガーマンもこれについて記している。これらは、Wyattが記したものと重複する部分が多いが、タンガーマンは、トリッキーなもの以外にも特筆した部分が多い。